2026.03.01
その家独特の匂いがない家をつくるには?その悩み素材と設計で解決できます
こんにちは!
ワダハウジングの纐纈です。
一級建築士など多数資格を持っています!
住まいの満足度を大きく左右する「家の匂い」
せっかくの新築の家。
お気に入りのインテリアに囲まれていても、玄関を開けた瞬間に「生活臭」がしたり、昨日の夕飯の匂いがリビングに残っていたりすると…
家族だけならまだ我慢できるかも知れませんが、来客があった時に少し恥ずかしいですよね?
消臭スプレーや芳香剤では限界があります。
また「自分の家の匂い」って、住んでいる本人は意外と気づかないものです。

実は、「匂わない家」は素材と設計の力でつくることができます。
今回は、匂い対策の方法と空気が美味しい家にする方法を説明します。
目次
なぜ「家の匂い」は発生していつまでも残るのか?
対策の前に、まずは匂いについて知ることから始めていきます。
家の匂いの原因は、主に以下の3つに集約されます。

- 生活臭の蓄積: 料理の油、人やペットの体臭、湿気による生渇き臭、人間の汗。これらが壁紙やカーテン、布製品などに染み付き蓄積されます。
- 湿気によるカビ臭: 日本の夏、特に岐阜県多治見市の夏は高温多湿で有名です。壁の裏や収納の奥でカビが発生すると、独特の不快な匂いになります。
- 換気不足: 汚れた空気が外部に排出されず、部屋の中に充満すると、匂い成分が凝縮されてしまいます。
これらを解決するのが、「自然素材」と「高性能な換気計画」です。
自然の空気清浄機「漆喰(しっくい)」
私達が家づくりで積極的におすすめしているのが、伝統的な内装材である「漆喰」です。
漆喰の主成分は「消石灰(水酸化カルシウム)」です。

- 多孔質構造: 漆喰の表面には、目に見えない無数の小さな穴が開いています。これが空気中の匂い物質を吸着します。
- 強アルカリ性の力: 漆喰は非常に強いアルカリ性を持っています。匂いの原因となる菌やカビは、この環境では繁殖できません。つまり、匂いを「吸い取る」だけでなく、匂いの元を「殺菌・分解」してくれます。
- 化学物質の分解: シックハウス症候群の原因となるホルムアルデヒドなども吸着・分解してくれるため、新築の家特有の「ツンとした匂い」も抑えられます。
漆喰と一口に言っても、最近は「漆喰調の壁紙」や「合成樹脂を含んだ塗り壁材」も多いです。

しかし、本物の消臭・調湿効果を求めるなら、やはり天然成分100%に近い塗り材が理想です。
漆喰+ゼオライトなど天然素材をブレンドした塗り壁材も、消臭・調湿効果が非常に高いのでおススメです。
漆喰は、静電気を発生させにくいため、ホコリが付着しにくく、壁や天井を漆喰にした場合は掃除回数がとても少なくなります。
経年劣化も少ないので、長い年月綺麗な状態を維持できます。
ただし、乾燥による収縮で、細かなひび割れ(ヘアクラック)が起きる可能性がありますし、クロス(壁紙)より工期が長く、費用が高くなります。
調湿性が高い「珪藻土(けいそうど)」で湿気ごと消臭
よく聞く「珪藻土」について説明します。
漆喰と似ていますが、その特性は少し異なります。

珪藻土は、植物性プランクトン(珪藻)の化石からなる土です。
- 圧倒的な吸放湿量: 珪藻土の最大の特徴は、漆喰を上回るとても高い「調湿能力」にあります。匂いの粒子は湿気に溶け込んで漂う性質があるため、湿度が適切にコントロールされるだけで、匂いの感じ方に劇的に差がでます。
- 物理的な吸着: 珪藻土の穴は漆喰よりも大きく、より多くの匂い物質を物理的に取り込むことができます。
珪藻土に卵の殻やゼオライトなど自然素材をブレンドして、消臭効果をさらに高めたものもあります。
漆喰でも説明したように、珪藻土も天然成分100%に近い塗り材が理想です。

珪藻土は湿度コントロールにとても優れた機能があるので、化学物質、アレルギー、ウイルス、バクテリア、ダニの繁殖、カビの発生、喉風邪の予防になる湿度40~60%の環境に近づけやすくなります。
その代わりといっては何ですが、表面がもろく、強い衝撃で欠けたり粉が落ちたりすることがあります。
また、調湿性が高いため、醤油などの液体をこぼすとすぐに染み込んでシミになりやすいです。
漆喰と同様に、乾燥による収縮で隙間や小さなひび(クラック)が入ることがありますし、クロス(壁紙)より工期が長く、費用が高くなります。
漆喰と珪藻土、どっちがいい?
よく相談を受ける内容です。
正直、どちらも素晴らしい性能を持っているので、甲乙つけがたいところです。

あえて言うなら「消臭などの分解力なら漆喰、調湿性能なら珪藻土」になるかと思います。
例えば、トイレのように「菌の繁殖を抑えたい場所」には漆喰。
寝室のように「寝汗による湿気とこもった匂いをスッキリさせたい場所」には珪藻土。
といった使い分けもできるかも知れません。
そうは言っても、最近の漆喰や珪藻土はそれ単体ではなく、その他の自然素材とブレンドされたものが多く、漆喰で珪藻土なみに調湿性が非常に高いものや、珪藻土で漆喰なみに消臭分解性能が高い物もあります。
どちらを選んでも期待した性能を発揮してくれると思います。
「無垢材(むくざい)」の天然消臭・芳香効果
無垢材にも、見た目の良さだけでなく、消臭・防臭効果があります。

- 「フィトンチッド」が匂いを中和:森に入ると、スーッとした清々しい香りがします。あれは、樹木が発散する「フィトンチッド」という成分の効果です。 無垢の木材は、家になった後もこの成分を出し続けます。フィトンチッドには、アンモニアなどの不快な匂いを中和して消臭したり、菌の繁殖を抑える「抗菌作用」もあります。
- 「天然のフィルター」が匂いを吸着:無垢材の断面を顕微鏡で見ると、無数の細かなパイプ状の細胞が並んでいます。これが空気中の湿気と一緒に匂いの成分を吸着してくれます。 特に杉や桧など柔らかい針葉樹は、空気をたくさん含んでいるため、この消臭・調湿効果が高いです。

珪藻土の項目でも少し書きましたが、匂いの粒子というのは「湿気」と混じることで空気中に漂います。
室内の湿度を一定(40〜60%)に保つことが「匂いが残りにくい環境」になります。
珪藻土の湿度コントロールでも書きましたが、湿度を40~60%に保つことができると、化学物質、アレルギー、ウイルス、バクテリア、ダニの繁殖、カビの発生、喉風邪の予防などにも効果があります。

漆喰や珪藻土に比べると調湿効果は劣りますが、厚みがあるので蓄えられる水分量は総じて多くなります。
ただし、乾燥する冬には木が収縮して隙間ができたり、湿気の多い時期には膨張して反りが出たりすることがありますし、物を落としたりすると傷や凹みがつきやすいです。
デザインと機能性の「エコカラット」
自然素材の風合いも素敵ですが、より洗練されたデザインと共に強力な消臭を求めるなら、LIXILの「エコカラット」も素晴らしい製品だと思います。
エコカラットは、いわば「超高機能なセラミックス(焼き物)」です。
多治見市の地場産業であるタイルの技術をさらに進化させたような素材になります。

- 珪藻土の約6倍の調湿力: 驚くことに、一般的な珪藻土よりもはるかに効率よく湿気を吸い取り、匂いを軽減します。
- 「4大悪臭」を狙い撃ち: トイレ臭(アンモニア)、生ゴミ臭(トリメチルアミン)、タバコ臭(硫化水素)、ペット臭(メチルメルカプタン)。これら生活の気になる匂い成分を短時間で吸着します。
- お手入れのしやすさ: 最新のエコカラットは、水拭きができるタイプもあります。自然素材の塗り壁は一度汚れると補修が大変な物が多いのですが、エコカラットはキッチン周りなど汚れやすい場所にも採用しやすいのがメリットです。

壁の一面にアクセントウォールとして施工したり、玄関の壁に貼ることで、インテリアデザインを高めながら消臭できます。
ただし、材料費・施工費ともに高額になりがちです。
硬いセラミックス素材ですが、一点に集中する衝撃には弱いので、ぶつけた際に「ひび割れ」や「欠け」が発生することもあります。
調湿・消臭効果を十分に発揮させるには、部屋の床面積に対して約1/4以上の壁面積に施工することが推奨されていますので、面積が少なすぎると効果を感じないこともありそうです。
匂い対策の要「24時間換気」と「気密性能」
ここからは「素材」の話ではなく「家の性能」設計による匂い対策です。
いくら漆喰、珪藻土、無垢の木、エコカラットを貼っても、空気が淀んでいれば効果を100%発揮できません。
今の新築の家には「24時間換気システム」という24時間365日換気をする機械の設置が義務化されています。
しかし、正しく24時間換気システムが機能している家は、驚くほど少ないのが現状です。

24時間換気システムが回っているから大丈夫ではありません。
隙間だらけの気密性能が低い家で、換気扇を回しても換気扇の近くにある隙間から空気が入って、そのまま出ていくだけになります。
これを「ショートサーキット」と呼びますが、ショートサーキットがおこると部屋の隅にある匂いや汚れた空気は全く動かず、換気ができていない状態です。
ここで重要になるのが気密性能のC値(隙間相当面積)です。
家が「魔法瓶」のようにしっかり密閉されていれば、換気扇を回した時に家中の空気が計画通りに入れ替わり、匂いが外へと排出されます。

コチラのブログでも解説しています。
画像をクリックorタップすると「UA値」だけで選んではいけません!断熱性能の「数字」の落とし穴というブログにとびます。
夏型結露と「匂い」の意外な関係
専門的な話になってしまいますが、岐阜県多治見市近辺の夏に注意が必要なのが「夏型結露(逆転結露)」です。
これは、エアコンで冷やされた室内の壁の裏で、外からの湿った暑い空気が冷やされれることによって、結露する現象です。
これが壁の中でカビを発生させ、なんとなく「カビ臭い家」の原因につながります。
このリスクを回避するために「調湿気密シート」などを壁の中に貼ったりします。

調湿気密シートは、冬は室内の湿気を壁内に入れない「防湿効果」、夏は壁内の湿気を室内に逃がす「透湿効果」を自動で行ってくれます。
こうすることで、匂いの根本原因であるカビの発生を防ぎます。
ただし、仕上げ材に注意が必要になります。
例えば、仕上げ材がビニールクロスだと、ビニールクロスで湿気がせき止められてしまい、結果として結露してしまいます。
透湿性のある、漆喰、珪藻土、和紙、珪藻土クロスなど自然由来の素材で仕上げをしてください。

詳しくは、防露計算、非定常計算などで、壁や天井などを構成する材料の組み合わせが、結露しないか計算をします。
計算によって安全が確かめられれば、調湿気密シートがなくても大丈夫ですし、ビニールクロスで仕上げをしても問題ないです。
私も全てのパターンで計算したわけではありませんが、何度も計算した結果、夏冬の一番最悪な時期に結露しない構成にしようとすると「調湿気密シート」なしで結露ない構成にするのは厳しいです…

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豆知識
人の鼻は同じ臭いに3分ほどで慣れてしまう(鼻の疲労)ため、自分の家の臭いには気づきにくいのが普通と言われています。
まとめ
これまでの話をまとめます。
根本的な解決策は、「素材が匂いを吸着・分解すること」、そして「換気で匂いを効率よく排出すること」の組み合わせにあります。

上記画像は、三菱電機の換気・換気空清機ロスナイ
匂いに悩まない家をつくるには、
- 【素材(吸着・分解・調湿)】 LDKや寝室など、長い時間を過ごす場所、トイレなどの匂いがこもりやすい場所も「漆喰」や「珪藻土」「無垢材」など、素材そのもので匂いを分解・吸着させる。
- 【設計(換気)】 高い気密性能(C値)を確保し、24時間換気が「部屋の隅々まで」空気を入れ替えるルートを作る。壁内の結露対策も徹底する。
家づくりにおいて、間取りや外観、内観のデザインは当然大切です。
しかし、実際に住み始めてみると「目に見えない空気の質」も大切だったりします。

「家の匂いが気になるけど、今の設計で大丈夫かな?」
「漆喰と珪藻土、自分の家にはどっちが合うんだろう?」
そんな疑問があれば、ぜひ一度、ご相談ください。
新築の家だけでなく、今住んでいる家のリフォームやリノベーションでも解決策を考えます。



ワダハウジング和田製材株式会社
・一級建築士
・一級建築施工管理技士
・省エネ建築診断士(エキスパート)
・住宅外皮マイスター
・一般社団法人みんなの住宅研究所会員(会員番号:200019)
・既存住宅状況調査技術者
・JBN省令準耐火構造資格者
纐纈和正
