2025.06.01
住宅を省エネ化するには、断熱性能の他に一次エネルギーを削減する事も大事です

こんにちは!
ワダハウジングの纐纈です。
一級建築士など多数資格を持っています!
住宅省エネ2025キャンペーンが始まっています。
目次
「住宅省エネ2025キャンペーン」とは?
住宅省エネキャンペーン2025とは、家庭の省エネルギーを推進するために国が実施している補助金事業の総称になります。

環境省・経済産業省・国土交通省の3省が連携し、新築住宅や住宅の断熱リフォーム、省エネ設備の導入などに対して補助を行います。

その中に子育てグリーン住宅支援事業というものがあります。
「子育てグリーン住宅支援事業」とは?
子育てグリーン住宅支援事業は、2050年カーボンニュートラルの実現に向け、新築住宅に「ZEH基準の水準を大きく上回る省エネ住宅」2030年度までの「新築住宅のZEH基準の水準の省エネルギー性能確保」の義務化に向けた補助を行うとともに、既存住宅について省エネ改修等への補助を行う事業です。

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その中の注文住宅の新築で、一番補助額が大きいのが「GX志向型住宅」になります。
GX志向型住宅は、全ての世帯が対象で1戸あたりの補助額が160万円と過去最大の補助額になっています。
詳しくコチラ→https://kosodate-green.mlit.go.jp/new-house/

相談会も行っています↑タップできます
補助の基本は住宅の省エネ化
GX志向型住宅に限らず、新築住宅、既存住宅の省エネ化は、地球温暖化対策につながります。
具体的には、私たちが使用する電力や熱の大部分は、石炭や石油、ガスを燃料にしているので、節電が分かりやすいところです。
特に、夏の冷房と冬の暖房時の電力やエネルギーを減らすことが大事です。

地球温暖化が進むとどうなるかは、みなさんもご存じだと思います。
環境省のホームページに「2100年 未来の天気予報」というものがあります。
このまま地球温暖化が進んだ場合にどうなるか、分かりやすい動画などもあるので参考までにリンクを貼っておきます。
環境省のホームページのリンク→https://www.env.go.jp/press/107008.html
住宅を省エネ化するには?
まず第一に行うべき基本は、断熱性能をあげることになります。

断熱性能をあげるのは簡単で、断熱材を厚くする、断熱性能のよい断熱材を使う、断熱性能のよい窓を使う、断熱性能のよい玄関を使うこれだけです。
簡単なのですが、その分お金も掛かります。

上記画像はカネカさんの断熱材
その他に断熱以外にも大事な要素があります。
再生可能エネルギーの導入や一次エネルギー消費量の削減も重要です。
再生可能エネルギーとは?
再生可能エネルギーとは、太陽光、風力、水力、地熱、バイオマスなど、自然界に常に存在し、枯渇しないエネルギーのことです。

化石燃料とは異なり、環境への負荷が小さく、地球温暖化対策にも貢献できます。
住宅の場合は太陽光発電が再生可能エネルギーに該当します。
太陽光発電がないと、ZEH住宅やGX志向型住宅から除外されてしまいます。
更に電気代の高騰もあるので、太陽光発電は電気代の助けになります。
廃棄問題をあげて避ける方もいますが、現在の太陽光発電は、ほとんどリサイクルできます。
以前のように埋め立て処分をしなくてよくなりましたので、さらに環境にやさしくなっています。

予算の許す限りなるべく多く太陽光発電を載せるとよいです。
売電収入があったり、停電時でも太陽光発電で発電した電気を使うことができるので、安心感もあります。
一次エネルギー消費量とは?
私たちが普段使うエネルギーは2種類あり、一次エネルギーと二次エネルギーに区分されています。
一次エネルギーとは、自然から直接取得できるエネルギーのことです。
具体的には、石油、天然ガス、石炭、原子力、水力、風力、太陽光など、加工されていない状態でもエネルギーとして利用できるものが該当します。

二次エネルギーは、一次エネルギーを変換・加工してつくられるエネルギーです。
具体的には、一次エネルギーである石油からつくられるガソリンや灯油、一次エネルギーである天然ガスからつくられる都市ガス、一次エネルギーである水力や原子力で発電された電力などが二次エネルギーに該当します。

二次エネルギーは、住宅の住まい方や暮らし方で削減できるものですが、国としては、二次エネルギーをつくるための一次エネルギーの削減の方を重要視しています。
具体的には、「暖房設備」「冷房設備」「換気設備」「熱交換型換気設備」「給湯設備(節水型機器含む)」「照明設備」の6項目を削減することが求められています。
一次エネルギー消費量を削減するためには?
一次エネルギー消費量を削減するには、上記の6項目「暖房設備」「冷房設備」「換気設備」「熱交換型換気設備」「給湯設備(節水型機器含む)」「照明設備」それぞれで対策をしていくことになります。
一次エネルギー消費量の削減量は、国立研究開発法人建築研究所が出している「住宅に関する省エネルギー基準に準拠したプログラム」を用いて計算をしなければなりません。

それでは、一つづつ解説をしていきます。
「暖房設備」
暖房は暖房の方式によって変わります。
「部屋のみを暖房する場合」「住宅内全体を暖房する場合」「設置しない場合」の3種類があります。
「設置しない場合」でも、地域によってあらかじめ定められた暖房式および暖房設備機器等により計算をされるので、一次エネルギー消費量が0で計算されることはありません。

その他に、暖房設備機器や放熱器の種類によっても変わります。
暖房方式に応じて、エアコン、蓄熱暖房機、床暖房、石油ストーブなどや、住宅内全体を暖房する場合なら換気機能の有無、機器の仕様、設計風量などによっても変わります。
この時、部屋のみを暖房をす場合を選択して、暖房器具をエアコンにすると一次エネルギー消費量がかなり削減できます。
エアコンがもっとも一次エネルギー消費量が少ない暖房器具なのです。

上記画像は三菱電機さんのエアコン
住宅内全体を暖房する場合は、ヒートポンプ式熱源(室外機)があることが必須です。
そして、かなり高性能なものにしないと一次エネルギー消費量を削減することができません。
高性能ですとかなり高額になりますし、住宅内全体を暖房する設備はエネルギーの消費量も多くなりがちです。
話は戻り、エアコンで暖房をする場合は、エネルギー消費効率が選択できます。
区分(い)(ろ)(は)の3種類あり、(い)(ろ)(は)の順で一次エネルギー消費量が高くなっています。

上記画像はダイキンさんのエアコンカタログ
エアコンの6畳程度、8畳程度の横に区分(い)と書かれています。
このようにカタログで判断するか、下の表に当てはまるようにエアコンの能力を計算で出すしかありません。

こちらも性能がよければよいほど、価格が高くなります。
この他に、小能力時高効率型コンプレッサーが搭載されているかの有無によっても、一次エネルギー消費量は変わります。
当然、小能力時高効率型コンプレッサーが搭載されている方が、一次エネルギー消費量の削減になります。

上記画像はダイキンさんのエアコンカタログ
区分(い)の隣に小能力高効率コンプレッサーと書かれている機種が対象になります。
カタログを見てもらえば分かるのですが、18畳程度と書かれているものより大きい機種でないと、小能力高効率コンプレッサーは搭載されていません。
当然ですが、価格も高くなっています。
具体的に住宅を省エネ化するには?で書いたのですが、基本は断熱性能を高めることです。
断熱性能が高ければ、エアコンに依存する比率が下がるので、こんなに高機能のエアコンは不要になります。

上記画像は東芝さんのエアコン
ちなみに、エアコンの畳数表記は、1964年当時の「無断熱住宅」が基準となっているので、断熱性能が高い住宅ならもっと畳数表示が小さなエアコンでも問題なく暖まります。
私達は、何度も計算ソフトでシミュレーションをしているので、この性能でこの大きさの部屋なら〇畳程度で十分とお伝えすることもできます。
ちなみに簡単に判断するなら、電力中央研究所が出している「ASST」というエアコン選定支援ツールで判断もできます。
「ASST」の文字にリンク先が貼ってあります。
「冷房設備」
冷房も暖房と同じように冷房方式で変わります。
「部屋のみを冷房する場合」、「住宅内全体を冷房する場合」「設置しない場合」の3種類があります。
冷房を設置しない場合は、エネルギー消費効率の区分(ろ)で計算をします。

上記画像はシャープさんのエアコン
暖房と同じように、冷房設備の種類によって、一次エネルギー消費量が変わります。
基本はエアコンになると思いますが、冷風扇や冷風機、扇風機なども選択ができます。
エアコン以外を選択した場合、エネルギー消費効率の区分(ろ)で計算されますが、実際の冷風機などは消費電力が高くなっているものもあるので、注意が必要です。

上記画像はアイリスオーヤマさんのポータブルクーラー
住宅内全体を冷房する場合は、暖房と同じようにヒートポンプ式熱源(室外機)があることが必須です。
そして、暖房と同じように、かなり高性能なものにしないと一次エネルギー消費量を削減することができません。
高性能ですとかなり高額になりますし、住宅内全体を冷房する設備はエネルギーの消費量も多くなりがちです。
エアコンで冷房する場合、暖房と同様にエネルギー消費効率が選択できます。
暖房と同じように、区分(い)(ろ)(は)の3種類あり、(い)(ろ)(は)の順で一次エネルギー消費量が高くなっています。

上記画像は日立さんのエココン
暖房と同様に、小能力時高効率型コンプレッサーが搭載されているかの有無によっても一次エネルギー消費量は変わります。
「換気設備」
現在、新築住宅を建てるときは、建築基準法でシックハウス症候群の対策として、24時間換気をする設備の設置が、義務付けされています。
その際に、設置する換気設備の方式によって、一次エネルギー消費量が変わります。
「ダクト式」なのか「壁付け式」なのか、「第一種換気」「第二種換気」「第三種換気」なのかでも変わります。

上記画像はローヤル電機さんのダクト式換気設備
ダクト式とは、ダクトを利用して換気を行います。
ダクトを天井裏や小屋裏などに通して、換気をしたい部屋までダクトを運びます。
LDKや寝室などには、新鮮な空気を送り、トイレや脱衣室から排気をするなどの換気計画をします。

上記画像は高須産業さんの壁付け式換気設備
壁付け式とは、壁に直接取付をした換気設備で換気を行います。
ダクトがないので施工が簡単なのが特徴です。
新鮮な空気を入れる給気だけのタイプや、よどんだ空気を排気だけするタイプ、給気と排気が一台でできるタイプなど種類があります。

上記画像は三菱電機さんの壁付け式換気設備
続いて、第一種換気、第二種換気、第三種換気の換気設備を解説します。
第一種換気は、新鮮な空気を入れる給気と、よどんだ空気を排出する排気を機械で強制的に行う換気のことです。
第二種換気は、給気のみ機械で強制的に行い、排気は排気口から自然に出す方式です。
第三種換気は、給気は自然に取り込み、排気は機械で強制的に行う方式です。
一般的にダクト式より壁付け式の方が、一次エネルギー消費量を削減できます。
これは、ダクトがある分だけモーターが大きくないと、十分に換気ができないので、その分の電力消費が多くなることが影響しています。

上記画像は日本住環境さんのダクト式換気設備
その他に比消費電力を入力をすることができます。
比消費電力とは、換気設備の省エネ性能を表す指標で、1時間あたりに1立方メートルの空気を運ぶのに必要な電力の量を表しています。
具体的には、換気設備の消費電力(W)を換気設備の設計風量(㎥/h)で割って算出します。
比消費電力が低いほど、換気設備の省エネ性能が高いと評価されます。

最後に換気回数の入力があります。
換気回数は、住宅の部屋1時間あたり0.5回/h、0.7回/h、0回/hの3つから選ぶことができます。
換気回数が少ない方が、換気設備が動いている時間が短くなるので、省エネです。
ただし、建築基準法で住宅の換気回数は、1時間あたり0.5回以上と義務付けられています。
0回というのは、住宅では建築基準法違反になってしまうので、0.5回/h、0.7回/hから選ぶことになります。

上記画像はバクマ工業さんの給気口
「熱交換型換気設備」
熱交換型換気設備とは、室内の汚れた空気を排出する際に、その空気から熱を回収し、外から取り入れる新鮮な空気に熱を移して温度を調整してくれる換気設備です。
これにより、換気による熱ロスを減らし、室内の温度変化が小さくなり、冷暖房費の削減につながります。

上記画像はエディフィス省エネテックさんの壁付け式熱交換型換気設備
熱交換型換気設備は、「評価しない、または設置しない」「設置する」の2つから選ぶことになります。
熱交換型換気設備は、換気設備で第一種換気を選択した場合しか設置することは出来ません。
設置する場合は、温度交換効率を入力します。
温度交換効率とは、排気によって失われる熱エネルギーをどれだけ効率的に回収し、給気側に送れるかを示す性能値です。
単位はパーセント(%)で表され、数値が高いほど熱回収効率が良いことを意味します。

熱交換換気設備は、設置をする方が基本的には省エネですが、温度交換効率が低い場合は設置しない方が省エネになる場合もあります。
壁付け式の場合、第三者試験機関が実施した試験の「試験成績書」により、該当するJISに基づく性能値(熱交換効率等)が取得しているものしか評価が出来ないので、注意が必要です。
私の知っている限りでは、三菱電機さんのロスナイぐらいしか該当していないようです。

上記画像は三菱電機さんのロスナイ
温度交換効率の他に、温度交換効率の補正係数を「入力しない」「入力する」から選択をします。
「入力しない」場合は規定値になり、「入力する」場合は温度交換効率の補正係数の算出ツールなどで計算することもできます。
規定値を用いるよりも、計算をしたほうが省エネになる場合が多いです。
ちなみに熱交換は「換気」の一部なので、一次エネルギーを評価する際は「換気設備」にまとめられます。
「給湯設備(節水型機器含む)」
給湯は分かりやすいかと思います。

上記画像はパロマさんのガス給湯器
まず「給湯設備がある(浴室等がある)」「給湯設備がある(浴室等がない)」「給湯設備がない」の3種類あります。
一般の住宅で浴室がない場合は少ないと思いますので、「給湯設備がある(浴室等がある)」を選択することになると思います。
ちなみに、浴室等には浴槽のないシャワールームも含まれます。

上記画像はTOTOさんのユニットバス
「給湯設備がある」を選択すると熱源機(給湯器)の種類を入力することになります。
石油従来型給湯機や電気ヒートポンプ給湯器など正式名称で書いてあるので、どれを選べばいいのか迷うと思います。
ここはプロに任せてください。
一番省エネなのは、電気ヒートポンプ・ガス瞬間式併用型給湯温水暖房機という難しい名前の給湯器になります。
具体的な商品名で言うとリンナイさんの「エコワン」が該当します。

上記画像はリンナイさんのエコワン
その次に省エネなのが、電気ヒートポンプ給湯器で通称「エコキュート」と呼ばれているものです。
給湯器を選択すると品番を指定したり、冷媒を選択したり、JIS効率を選択したりと給湯器の特徴を選択していくことになります。
この選択により「エコワン」と「エコキュート」の省エネ性能が逆転することもあります。

上記画像は日立さんのエコキュート
太陽光発電を載せる方におススメなエコキュートで「おひさまエコキュート 」というものがあります。
これは、太陽光が発電している昼間にお湯を沸き上げるので、非常に省エネです。
さらにJIS効率も非常によい物が多く、得てして省エネ性能が高くなります。
ガスを使用しない住宅なら「エコキュート」もしくは「おひさまエコキュート」が間違いないと思います。
ガスを使用したい住宅でも、プロパンガスのエリアで、どうしてもガスにしたい物だけに絞ると基本使用料とガス使用量が抑えられるのでおススメです。
具体的には、ガス乾燥機だけ導入といったイメージです。
※都市ガスの場合は、この限りではありませんのでご注意ください。

上記画像はダイキンさんのおひさまエコキュート
他には、ふろの種類を選択します。
「給湯単機能」「ふろ給湯機(追炊なし」「ふろ給湯機(追炊あり)」から選択します。
給湯単機能は、昔ながらの蛇口からお湯を出して浴槽にお湯を溜めることを指します。
追炊は浴槽に入れたお湯が冷めた時に、再度温め直す機能のことを指します。
一度沸かしたお湯を再加熱してちょうどいい温度に戻すことで、給湯にかかわるエネルギーを省力化します。
「ふろ給湯機(追炊あり)」が一番省エネです。

その他に配管の方式も評価できます。
配管方式は「評価しない、先分岐方式」「ヘッダー方式」と2種類です。
先分岐方式とは、給水管や給湯管の主管から、継手を使って枝のように管を分岐させ、水回り設備の水栓に接続する配管方法です。
昔から行われている配管方法でになります。
ヘッダー方式とは、配管の分岐を集中させ、そこから各水栓へ接続する配管工法です。
給水・給湯のヘッダーを設け、そこから各水栓への配管を行うことで、途中の分岐を減らせるので、施工やメンテナンスの効率がよくなります。
水圧が安定するので、湯を待つ時間の短縮になります。

上記画像は古河電工さんのヘッダー工法
ヘッダー方式を選択した場合、配管の大きさを選択できます。
13A(13㎜の配管)より大きいか小さいかで省エネを評価します。
13Aより小さい方が省エネです。
配管が小さければ、水やお湯が配管内を流れる量が少なくなり、余分に水やお湯を使わなくてよくなることが理由です。

上記画像はクリエイトさんの給水管
水栓も評価の対象になります。
台所水栓、浴室シャワー水栓、洗面水栓を評価します。
具体的には「評価しない、または2バルブ水栓」「2バルブ水栓以外のその他の水栓」から選択します。
「2バルブ水栓以外のその他の水栓」を選択した方が省エネです。
ちなみに、2バルブ水栓とは下記の画像のようなものです。

上記画像はLIXILさんの2バルブ水栓
「2バルブ水栓以外のその他の水栓」を選択すると、台所水栓、浴室シャワー水栓、洗面水栓の全てで「水優先吐水機能」を 「採用しない」「採用する」が選択できます。
水優先吐水機能とは、主にシングルレバー水栓に搭載され、レバーを水のみの部分に合わせると、水だけが出てきます。
お湯と水が混ざる部分にレバーを動かすことで、給湯器を無駄に動かすことがなくなり、給湯に係わる部分の節約につながります。
したがって、水優先吐水機能を 「採用する」方がお湯を使う量が少なくなるので省エネになります。
ちなみに、水優先吐水機能付きの水栓は下記の画像のようなものです。

上記画像はKVKさんの水優先吐水機能付き水栓
台所水栓、浴室シャワー水栓は「手元止水機能」を「採用しない」「採用する」も選択できます。
手元止水機能とは、シャワーヘッドや水栓に組み込まれたレバーやボタンを押すことで、手元で簡単に水やお湯を止めることが機能です。
これは、レバーやハンドルを操作して止めるよりも、操作が簡単で節水に繋がるため、省エネになります。
最近ではセンサー付きもあり、手をかざすと自動で水やお湯が出て、一定時間後に自動で止まるものもあります。

上記画像はカクダイさんのシャワーヘッド
最後に「浴槽の保温措置」を「評価しない、または高断熱浴槽を使用しない」「高断熱浴槽を使用する」を選択できます。
高断熱浴槽とは、浴槽を断熱材で覆うことで、保温性を高めた浴槽のことです。
断熱材によって熱が逃げにくくなり、お湯が冷めにくくなります。
これにより、追い焚きの回数が減り、光熱費を削減につながます。
ただし、JIS A 5532(浴槽)において「高断熱浴槽」と定義された浴槽の性能を満たすものでないといけません。

上記画像はタカラスタンダードさんの高断熱浴槽
「照明設備」
照明は「主たる居室の照明設備」「その他の居室の照明設備」「非居室の照明設備」それぞれで評価をします。
主たる居室はLDK、その他の居室は寝室や子供室、和室など、非居室は廊下やトイレなどを指します。
「主たる居室の照明設備(LDK)」「その他の居室の照明設備(寝室や子供室、和室など)」「非居室の照明設備(廊下やトイレなど)」それぞれで照明設備を「設置しない」「設置する」から選択をします。
「設置しない」を選択した場合でも一次エネルギー消費量は0になるわけではなく、1ヶ所以上照明設備が設置されていると判断し、LEDを使用しているものとして計算されます。

上記画像はコイズミさんの照明
「設置する」を選んだ場合、「主たる居室の照明設備(LDK)」「その他の居室の照明設備(寝室や子供室、和室など)」「非居室の照明設備(廊下やトイレなど)」どの場合でも、照明器具の種類を選択することになります。
LEDを使用しているか、蛍光灯なのか、白熱灯なのかを選択しますが、白熱灯は2012年頃に生産終了していますし、蛍光灯も2027年末には製造と輸出入が禁止されます。
よって、実質LED照明しか選択の余地がありません。

上記画像はPanasonicさんの照明
その他に「主たる居室の照明設備(LDK)」では「多灯分散照明方式」を「採用しない」「採用する」が選択できます。
多灯分散照明方式とは、1つの部屋に複数の明るさが違う(ダウンライト、ペンダントライト、スタンドライトなど)照明器具を分散して配置する照明方式です。
そうすることで、普段の暮らしに合わせて光の量を調整したり、必要な場所だけを照らしたりすることができるので、快適な光環境をになりつつ省エネ効果も期待ができます。

上記画像は無印良品さんの照明
ただし、これを証明するのは大変です。
照明設備の消費電力の合計が、拡散配光器具により必要な設計照度を得るための照明設備の消費電力の合計を超えないことが確認できる場合に限ります。
多灯分散照明方式の検討書を用いたりして計算をすることになります。
私の感覚では、一次エネルギー消費量が1%変わるか、変わらないかぐらいかなと…
(LDKの広さによって変わります)

上記画像は大光電機さんの照明
「主たる居室の照明設備(LDK)」「その他の居室の照明設備(寝室や子供室、和室など)」では「調光が可能な制御」というのも選択できます。
調光が可能な制御とは、照明の明るさを段階的または無段階で調節できる機能のことです。
照明器具本体に調光機能がある照明や、別の調光器で操作する場合などがあります。
調光器を使い、明るさを落とすことで消費電力が抑えられ、省エネにつながります。

上記画像は三菱電機さんの調光器
こちらは、複数の照明を設置する場合でも、どれかの照明に一つでも調光があれば、「採用する」を選択することができます。
私の感覚では、「主たる居室の照明設備(LDK)」「その他の居室の照明設備(寝室や子供室、和室など)」両方に調光器があった場合で、一次エネルギー消費量が1%変わるかなぐらいです。
(LDKや寝室、子供室などの広さによって変わります。)
「主たる居室の照明設備(LDK)」「その他の居室の照明設備(寝室や子供室、和室など)」どちらかに調光器がある場合は、「主たる居室の照明設備(LDK)」にある方が、一次エネルギー消費量の削減になります。

上記画像は大光電機さんの調光器
最後に、「非居室の照明設備(廊下やトイレなど)」にだけ「人感センサー」を「採用しない」「採用する」が選択できます。
人感センサーとは、赤外線や超音波などを用いて、人がいることや動きを感知し、機器を動作させるセンサーです。
住宅やオフィス、商業施設などで、照明の自動点灯・消灯、自動ドアの開閉、防犯カメラの起動など様々なものに利用されています。

上記画像はオーデリックさんのセンサー付照明
人感センサーも調光器と同様に、複数の照明を設置する場合でも、どれかの照明に一つでもセンサーがあれば、「採用する」を選択することができます。
人感センサーを「採用する」にしても、ほとんど一次エネルギー消費量の削減にはなりません。
住宅の断熱性能や広さにもよるのですが、人感センサーでの削減量はおおよそ0.05~0.07%ほどしか変わりません。

上記画像は山田照明さんのセンサー付き照明
まとめ
一次エネルギー消費量を削減するには、「暖房設備」「冷房設備」「換気設備」「熱交換型換気設備」「給湯設備(節水型機器含む)」「照明設備」それぞれで対策をしていくことになります。
その前に行うべき基本は、断熱性能をあげることになります。
断熱性能がよいと、暖房設備の大幅な一次エネルギー消費量が削減できます。
住宅の規模によりますが、断熱等性能等級5から断熱等性能等級6へ断熱性能をあげると、おおよそ5~7%一次エネルギー消費量が削減できます。

その代わり、熱が逃げないので、冷房設備の一次エネルギーが増えます。
それでもおおよそ、0.1~0.2%ほど増えるぐらいなので、あまり影響はありません。
一次エネルギーを削減するには、「断熱性能を高める」ことと「暖房設備」「冷房設備」「換気設備」「熱交換型換気設備」「給湯設備(節水型機器含む)」「照明設備」で高効率な設備を採用することが大事です。
ただし、断熱性能を高めるにしても、高効率な設備を採用するにしてもお金がかかります。
「お金」「断熱性能」「高効率な設備」のバランスを大事にしてくださいね。


ワダハウジング和田製材株式会社
・一級建築士
・一級建築施工管理技士
・省エネ建築診断士(エキスパート)
・住宅外皮マイスター
・一般社団法人みんなの住宅研究所会員(会員番号:200019)
・既存住宅状況調査技術者
・JBN省令準耐火構造資格者
纐纈和正
