2026.04.16
「見積りの安さ」だけで選ぶと後悔する!生涯コストで考える家づくり
こんにちは!
ワダハウジングの纐纈です。
一級建築士など多数資格を持っています!
家づくりを考え始めると、どうしても最初に気になるのが「見積り書の金額」ですよね。
「少しでも安く抑えたい」と思うのは、将来を考えれば当然です。
しかし、一級建築士として多くの家づくりに携わってきた経験からお伝えしたいのは、「最初の安さ」だけで家づくりをしてしまうと、住み始めてから数百万円単位で後悔する可能性が高いということです。

今回は、家づくりの生涯コスト(ライフサイクルコスト)の観点から解説したいと思います。
目次
1. 家づくりのコストは「購入価格」だけではない
家づくりのコストを考えるとき、多くの方は「建築費(イニシャルコスト)」に注目します。
しかし、家が完成してから住み続けるのにかかる費用は、大きく分けて3つあります。
- イニシャルコスト(建築費)
- ランニングコスト(光熱費・医療費・保険料など)
- メンテナンスコスト(修繕費・リフォーム費)
これらを合計したものが「生涯コスト(ライフサイクルコスト)」です。

「建築費(イニシャルコスト)が安い家」というのは、多くの場合、この2.と3.のコストが住み始めてから高い場合が多いです。
車で例えるなら、燃費の悪い中古車を安く買って、毎月のガソリン代と修理代で費用が嵩んでしまうようなものです。
2. 光熱費の逆転現象が起こる高性能住宅
一時、日本で一番暑い町として有名になった多治見市。
その多治見市でも冬は意外と底冷えします。
また、夏の暑さも年々厳しくなっています。
ここで重要になるのが、「気密(C値)」と「断熱(UA値)」の性能です。

「隙間だらけの家」は光熱費を捨てているのと同じ
高気密・高断熱の家は、一般的な家に比べて建築費が少し高くなります。
しかし、その差額は15年〜20年もすれば光熱費で回収できてしまいます。
例えば、C値(隙間の多さ)が5.0の家と、C値0.5以下の高気密住宅を比べた場合、C値5.0の家は、家中をハガキ数枚分、あるいは窓を少し開けたままエアコンをかけているような状態です。
冬、せっかく温めた空気が隙間から逃げ、冷たい外気が足元を冷やします。
一方、高気密・高断熱の家は、魔法瓶のように温度を保つことができます。
光熱費を計算するソフトを用いて計算をすると、高性能な家は一般的な家よりも光熱費を年間で10万円以上抑えられるケースも珍しくありません。

30年にすると300万円。
このお金は、家族の旅行代や教育資金、住宅ローンの繰り上げ返済など何かと使えます。
3. メンテナンスコストが掛かる安い外装材
見積もりを安く見せるために、よく使われるのが「安価な外装材」です。
外装とは、屋根や外壁など、建物の屋外にあたる部分の仕上げや部材の総称のことを言います。

10年ごとに150万円かかる家、30年メンテナンス不要な家
一般的な窯業系のサイディング(外壁材)やスレートなどの屋根材は、10年〜15年ごとに再塗装やシーリング(外壁材のつなぎ目)の打ち替えが必要です。
そのたびに足場を組み、塗装をするので、その都度100万円〜150万円の費用が発生します。
一方で、金額は高くなりますが、耐久性の高い自然素材や、メンテナンス性に優れた部材を選んでおけば、この頻度を減らすことができます。

更に注意が必要なのが、「壁の中の結露」です。
価格を抑えた家づくりでは、気密・防湿などの施工部分が職人まかせになりがちです。
そして、必要な部材を省略していることもあります。
日本の夏は「夏型結露(逆転結露)」という、壁の中の湿気がエアコンの冷房で冷やされて、水滴になる現象が起こります。
これは、過去のブログでも書きましたのでコチラもご覧ください。
https://www.wada-h.co.jp/blog/uatidakedeeranndehaikemasenn/
この夏型結露を見逃してしまうと、数十年後には柱や梁が腐り、大規模な構造補修が必要になります。

見積り段階での「数十万円の差」を惜しんだ結果、将来「数百万円の修繕」が必要になる……
こんなことが実際に起こっています。
4. 「健康」という資産
私達が最も重視しているのが「住む人の健康」です。
実は、家の性能と医療費には深い関係があります。

ヒートショックとアレルギーのコスト
冬場、リビングは暖かいのに廊下やトイレ、脱衣所が凍えるように寒い家。
これは血圧の乱高下を招き、ヒートショックの原因となります。
また、断熱が不十分で窓や壁に結露が発生すると、そこにはカビやダニが繁殖します。

- カビ・ダニによる喘息やアトピーによる通院費
- 寒さによる活動量の低下による風邪のリスク
- 寒さによる活動量の低下で起こる運動不足で筋肉量の低下
これらを防ぐために「高性能」は、必須であると考えます。
家族が健康でいられることで、医療費が抑えられます。
何より「健やかな時間」という、お金には換えられない価値が得られます。

5. 一級建築士が考える「お金をかけるべき場所」
誰しも家づくりに掛けられる予算は限られていると思います。
予算が限られているなら、どこにお金を掛けるべきでしょうか?
答えは明確です。
「後から変えられない場所」にお金を掛けてください!
- 構造・耐震性能(家族の命を守る)
- 断熱・気密性能(住まいの高熱費が決まる)
- パッシブデザイン(太陽の光と風を活かす設計)

キッチンのグレードや壁紙の柄は、10年後、20年後のリフォームで簡単に変えられます。
しかし、断熱材を入れ替えたり、構造を補強したりするのは、家の骨組みを触る大きな工事になり、費用も膨大します。
特に1.と2.「予算が足りないから耐震・断熱・気密性能を落とす」というのは、一番やってはいけない選択だと思います。
6. パッシブデザインという「無料のエネルギー」を活用する
我々が得意とする「パッシブデザイン」も、賢い家づくりの一つです。
これは、特別な機械を使うのではなく、窓の位置や「軒(のき)」「庇(ひさし)」の出方を緻密に計算することで、冬は太陽の熱を取り込み、夏は遮る設計手法です。

冬は日が当たるところにいるとそれなりに暖かく感じます。
夏は日傘や日影に入ると若干暑さを軽減できます。
そんな物理の原理原則に基づいたのが「パッシブデザイン」
太陽の動きを読み解き、間取りを考える。
これだけで、生涯にかかる光熱費をさらに数%〜数十%削減できます。

上の写真は夏至近くの正午頃に撮影をしました。
軒と庇のおかげで窓が全て陰になっており、直射日光が入ってきていません。
設計によるコスト削減は、材料費と違って「一度、設計してしまえば、その後ずっと無料」で恩恵を受け続けられる、最高に効率の良い投資なのです。
年数が経過した後に「よかった」と言われる家づくり
見積り書に書かれた数字は、あくまで「現在、支払う金額」に過ぎません。
皆様にお願いしたいのは、その数字の先にある「暮らす期間の総額」で考えていただきたいということです。

- 安い見積りだけど、毎月の光熱費にビクビクし、数年おきに修繕費を積み立てる暮らし
- 納得のいく家づくりで、年中快適に過ごし、メンテナンスの心配を最小限に抑える暮らし
私たちは、風土に合わせ、無垢材や漆喰などの自然素材を活かしながら、最新の知見に基づいた高性能住宅をご提案しています。
「自分たちの予算で、どこまで性能を上げられるの?」
「実際の生涯コストの違いをシミュレーションしてほしい」
という方は、ぜひ一度、私たちにご相談ください。
数字だけでは分からない「性能の本当の価値」を、肌で感じていただけるはずです。



ワダハウジング和田製材株式会社
・一級建築士
・一級建築施工管理技士
・省エネ建築診断士(エキスパート)
・住宅外皮マイスター
・一般社団法人みんなの住宅研究所会員(会員番号:200019)
・既存住宅状況調査技術者
・JBN省令準耐火構造資格者
纐纈和正
