2025.12.01
土岐市で行った倉庫増築工事の施工事例を紹介します
こんにちは!
ワダハウジングの纐纈です。
一級建築士など多数資格を持っています!
本日は、土岐市で行った倉庫増築工事を紹介していきます。
今回ご依頼があったのは、庭に小さな倉庫が欲しい、既製品の物置は嫌だとご依頼を受けました。

増築とは?
既存の住宅の床面積を増やす工事のことです。
具体的には、以下のようなケースが含まれます。
- 現在の住宅に部屋などを新たに追加する。
- 平屋の住宅を2階建てにするなど、階数を増やす。
- 敷地内に別の住宅などを新しく建てる。この場合は、敷地に対して住宅の床面積が増えるので増築になります。

改築との違い
増築とよく似た言葉に「改築(かいちく)」と呼ばれるものがありますが、増築とは違います。
- 増築:住宅の床面積が増える工事です。
- 改築:既存住宅の全部または一部を取り壊し、以前と同じ規模・構造・用途の住宅にやり直す工事で、床面積は基本的に変わりません。

建築確認申請について
新築住宅を建築する際は、建築確認申請を提出します。
建築確認申請とは、住宅などの建築物の工事を始める前に、その建築物が建築基準法や関連法規に適合しているかを、建築主事や指定確認検査機関に確認をしてもらうたまに提出する申請になります。
この申請で「確認済証」が交付されてないと工事することができません。

増築を行う際にも、建築基準法に基づき「建築確認申請」が必要になる場合があります。
- 防火地域や準防火地域と呼ばれる、防火の規制がない地域での10m²以内の増築は、申請が不要です。
- 防火地域や準防火地域内では、面積に関わらず建築確認申請が必要です。
この他にも、いろいろな条件があります。
増築を検討されている場合や、具体的な内容は工務店やリフォーム会社などに相談してから進めていくことをお勧めします。

工事の紹介
現状の庭に既製品の物置があったのですが、多趣味な施主様なので物が入りきっていませんでした。
また、物置にも使えて、趣味も楽しめる倉庫が欲しいとのご要望をいただきました。

その他に、自分で棚を増やしたりDIYが出来る要素も欲しいと伺っていました。
鉄骨造で建てることも考えたのですが、鉄骨造だとDIYをする際に、余分な道具や工具が必要になったりして施主様にご迷惑をお掛けするので、木造で建築することにしました。

基礎工事
どんな住宅や建物でも基礎は大事になります。
耐荷重を設定して構造計算をしたら建築基準法の最低ラインの基礎でもかなり余裕がありました。
よって、コストを抑える為にコンクリートブロックを基礎としています。
コンクリートブロックは、セメント、砂利、砂、水を混ぜてブロック状に成型して固めた建築に使う材料です。
軽量化や鉄筋などを挿入するために内部に空洞があるものが多く「建築用空洞コンクリートブロック」とも呼ばれます。

画像は、大里ブロック工業株式会社のコンクリートブロック
コンクリートブロックにはA種~D種まであり、強度が異なります。
- A種:強度が小さいので、園芸などで使用します。
- B種:強度が中程度なので、鉄骨造や鉄筋コンクリート造の間仕切り壁などで使用します。
- C種:強度が高いので、外構のブロック塀などで使用します。
- D種:強度が一番高いので、擁壁などの土の圧力がかかる土木などの構造物に使用します。

画像は、有限会社佐々木ブロックのコンクリートブロック
構造計算で16N/m㎡で問題ないことを確認したので、16N/m㎡以上の強度があるC種ブロックで基礎をつくります。
強度が上がれば当然コストもかかるので、コストを抑えるには過剰な設計をしない事も重要になります。
まずは、建てる位置を出します。
次に、建築基準法で決められているベタ基礎なら12cm、地面に埋める必要があるので土を掘ります。

その掘った地面に、防湿シートを敷きます。
防湿シートは、湿気や水蒸気の透過を防ぐ機能を持ったフィルムのようなシートです。
主に住宅の床下に敷いたり、壁に貼ったりして建物内部を湿気から守ります。
カビやシロアリの発生、木材の腐食などを防ぐことを目的としています。

続いて鉄筋を組み立てをします。
床に並べてあるのがスラブ鉄筋と呼ばれるものです。
コンクリートは引っ張る力に弱いので、その弱点を引張力に強い鉄筋で補強し、基礎全体の強度と安全性を高める役割があります。
縦に刺さっているのが縦筋で、コンクリートブロックと緊結する役割があります。

鉄筋の組み立てが終わったら、スラブ(ベース)コンクリートを流します。
余談ですが、この現場はポンプ車が入れなかったので、道路から職人が建設工事用一輪車で少しづつ生コンクリートを運びました。
頭が下がります。
コンクリートを流し終えると、コテで平に均してスラブの完成です。
ここでしっかり平にしておかないと、この後に積むブロックが水平にならないので、職人の腕が頼りです。

ブロックをモルタルで接着していきます。
ブロック積みにおけるモルタルは、ブロックを接着して一体化させるので、水とセメント、砂の配合に気を使います。
モルタルを詰めながら、ブロックとブロックを緊結させる鉄筋も配筋していきます。

モルタルを全て敷き詰めたら基礎の完成です。
この後はコンクリートやモルタルの強度を出す為に、しばらく乾かします。
コンクリートやモルタルが、十分な強度に達するには約28日かかるとされています。
車が乗り入れられるようになるまでには、6~7日ほどかかります。
木工事
コンクリートやモルタルが乾いて強度がでてきたら、土台を敷きます。

コンクリートやブロックの水分が完全に抜けるのは、1~2年かかります
ブロックの上にそのまま土台を敷いてしまうと、土台が水分を吸収してカビやシロアリの発生、腐食につながるので、こちらも防湿シートを敷きます。
ブロックから生えているボルトが土台とブロックを緊結するアンカーボルトになります。
アンカーボルトにより、地震や台風による建物のずれや、浮きを防ぐことができます。

土台を敷き終わったので、日を改めて柱等を建てていきます。
ブルーシートが敷いてあるのは泥よごれ防止と傷がつかないように、養生をしているからです。
ここからの作業は職人4人で行いました。

柱を建てて、梁を掛けて、屋根まで仕上げをしていきます。
本来なら、職人が作業をしやすいように足場をかけるのですが、増築で足場をかけるスペースがなく脚立で作業をしております。
4人で作業をしているので、あっという間に出来上がってしまい、写真がほとんど撮れませんでした。
2時頃には建物の形が出ており、外壁の防水紙を貼っていました。

外壁の防水紙の下の青緑のボードが地震に耐える耐力壁を兼ねています。
倉庫の中は、DIYできるように何も仕上げを行わないので、外壁側で防火と地震の両方に耐える性能を持たせる必要があり、新築では使わないボードを使用しています。
(ヘルメットを被っていないのは、休憩にはいる直前だからです)
その都度最適な建築材料を選定して、工事をすることが大事になります。

防水紙が貼り終わると、外壁を止める下地となる胴縁と呼ばれる細長い木材を打ち、大工工事は完了となります。
下の方だけ胴縁を打っていないのは、水切りという外壁を伝う水が基礎にかからないようにする金物をつけるためです。
水切をつけた後に、板金職人が施工をしています。
屋根・外壁・樋工事
今回の倉庫は、屋根と壁をガルバリウム鋼板で仕上げをするので、板金職人が屋根、外壁、樋全て行いました。
(樋は大体の場合、板金職人が施工をします。器用な瓦屋根職人なら樋まで行う方もいますが、少数です)

コストとの兼ね合いもあるので、業者を少なくする為と、倉庫が小さいので軽い素材で仕上げをしておかないと地震で倒れてしまうからです。
軽いと台風で飛ばされてしまわないか心配になりますが、基本は地震に耐えるように耐力壁を増やすと自然と耐風力もあがります。
台風に対しての検討は、屋根の拭き上げを検討すれば、耐風力を確保できる場合が多いです。

屋根、外壁、樋工事が終わるといよいよ完成に近づきます。
基礎防水工事
コンクリートブロックとスラブ(ベース)には継ぎ目があります。
この継ぎ目から大雨時など水が入ってこないように、防水モルタルを施します。
防水モルタルは、通常のモルタル(セメント、砂、水を混ぜたもの)に防水性能を持つ特殊な混和材(防水材)を加えたものになります。


分かりやすいように、写真を2枚並べました。
上が防水モルタル施工前、下が防水モルタル施工後です。
継ぎ目がなくなっているのが分かると思います。
このように、左官職人に塗ってもらい工事は全て完了です。
完成
完成写真を数枚あげていきます。
まずは、外観からです。
軒の出がないシンプルな倉庫です。

大きなものを入れられるように両開きの扉をつけています。

南面には明り取りの窓があります。
採風も兼ねているので開くことができます。
続いて内観の写真です。

柱や梁が現しになっています。
ホームセンターで部材を買って自分で棚などを取り付けをすることが可能です。

明り取りの窓の反対側です。
外観からは見えないですが、母屋の勝手口から濡れずに入ってこられる片引戸がついています。
引戸横だけ木材が沢山あるのは、引戸を止める為の木材と外壁を止める為の木材がみえています。
このようにご要望に合わせて、増築をしています。
増築だけでなく、新築やリフォーム、リノベーションでもご要望や予算に合わせてご提案できますので、お気軽にご相談ください。


ワダハウジング和田製材株式会社
・一級建築士
・一級建築施工管理技士
・省エネ建築診断士(エキスパート)
・住宅外皮マイスター
・一般社団法人みんなの住宅研究所会員(会員番号:200019)
・既存住宅状況調査技術者
・JBN省令準耐火構造資格者
纐纈和正
