2026.07.16
リフォームするなら「断熱+耐震」の同時リフォームを勧める裏事情
こんにちは!
ワダハウジングの纐纈です。
一級建築士など多数資格を持っています!
7月に入り、東濃地方もいよいよ本格的な夏を迎えました。
土岐市や隣の多治見市周辺は、全国的にも「とにかく暑い地域」としてニュースになることが多いですよね。

日中のクラクラするような日差し、夜になってもアスファルトから放射される熱気……。
「毎日エアコンをフル稼働させているけれど、電気代を見るのが本当に怖い」
「エアコンをつけているのに、足元だけ冷えて頭の上がモワモワする」
といったお悩みを抱えていませんか?

こうした「夏の暑さ・冬の寒さ」という温熱環境の悩みと、いつ起こるか分からない「巨大地震への備え」の悩みは、大きな問題として繋がっています。
特に近年、建築の世界では非常に大きな法改正がありました。
2025年4月からは、すべての新築住宅において省エネ基準への適合が完全義務化され、これまでは構造審査が省略されていた木造2階建て住宅(いわゆる4号建築物)でも、しっかりとした壁量計算や四分割法などのチェック図面の提出が必要になりました。
日本の家づくりは、今まさに「高性能でなければ建ててはいけない」という新しい時代、そして未来の2030年に向けてさらに厳しいZEH基準(ゼロエネルギーハウス基準)へと向かっています。

しかし、今私たちが目を向けるべきは新築だけではありません。
日本全国、そしてこの土岐市にもある既存の住宅ストックの多くは、現在の断熱基準も耐震基準も満たしていないのが現実です。
「古い家だから、冬寒くて夏暑いのは我慢するしかない」
「耐震補強も断熱リフォームもやりたいけれど、何千万円もかかるなら手が出ない……」
そう諦めてしまう前に、 私たちプロの目線から、「断熱リフォーム」と「耐震リフォーム」を別々にやってはいけない驚きの経済的理由、そして「壁を壊すなら、なぜ同時にやるべきなのか」という業界の裏事情を、本音で暴露させていただきます。

地元の皆様の命と財産、そして毎月の家計を守るため、ポイントを絞って分かりやすく説明をします。
裏事情:リフォームで一番お金がかかるのは「材料」ではない
リフォームの見積書を見たとき、多くの方が「えっ、断熱材や合板の材料代ってこれだけなのに、どうして全体の金額がこんなに高いの?」と驚かれます。

ここに、建築業界の最大の裏事情が隠されています。
実は、リフォーム工事においてもっとも費用(人件費や手間賃)がかかるのは、新しく入れる断熱材や耐震用の合板などの「モノの代金」ではありません。
本当にコストを押し上げているのは、以下の工事です。
- 解体・撤去工事:古いクロスやせっこうボード、床板をバリバリと剥がして処分する費用。
- 養生(ようじょう)工事:工事をしない場所や家具にキズやホコリがつかないよう、ビニールやシートで丁寧に保護する費用。
- 下地補修・大工工事:剥がしたあとの柱や梁の歪みを微調整し、新しい材料を貼れるように整える費用。
- 内装復旧・仕上げ工事:新しく貼ったボードの上にパテを塗り、クロスを綺麗に貼り直したり左官職人による左官仕上げ費用。

建築の間では、これらの工事を総称して「道連れ工事(付帯工事)」と独特な表現で呼びます。
「別々リフォーム」と「同時リフォーム」のコストの差
例えば、今年は夏の暑さに耐えかねてリビングの「断熱リフォーム」を行ったとします。
大工さんがリビングの壁を剥がし、断熱材を詰め、内装屋さんがクロスを綺麗に貼り直して工事は完了します。
その費用の中には、当然リビング全体の壁を剥がして直すという、高額な「道連れ工事」の費用が含まれています。
そして3年後、今度は大きな地震が心配になり、同じリビングの「耐震リフォーム」を計画したとします。
するとどうなるでしょうか?
せっかく3年前に綺麗に貼り直したばかりのリビングの壁クロスとせっこうボードを、もう一度バリバリと全て剥がさなければ、柱や梁に耐震補強金物を取り付けたり、構造用合板を打ち付けたりすることができないのです。

つまり、別々に工事を行うということは、もっともお金がかかる「壁を壊して、元通りに直す」という道連れ工事の費用を、まるまる2回分支払っていることになります。
これはお施主様にとって、非常にもったいない経済的損失です。
だからこそ、私たちは声を大にしてお伝えしています。
「壁を壊して中身を触るなら、断熱(省エネ)と耐震は、今同時に行うのがもっとも合理的で、一番安上がりになります!」
一度壁を剥がしてしまえば、そこに断熱材を詰め込むのも、耐震用の合板や金物を設置するのも、同じ大工さんがその場で連続して行うことができます。

これこそが、「省エネ×耐震」同時リフォームがもたらす最大の経済的メリットなのです。
検討すべき重要ポイント
情報を見やすくお伝えするため、同時リフォームを行うにあたって絶対に外せない重要なポイントを3つのセクションに絞って詳細に解説します。
| 検討項目 | 主な目的・効果 | 一級建築士からのアドバイス |
| 1. 夏の断熱・気密・気流止め | エアコンの冷気を逃がさず、壁裏の「夏型結露」を防ぐ | 壁の上下を塞ぐ「気流止め」を必ず施工すること |
| 2. 耐震補強のバランスと配置 | 1階が押しつぶされる倒壊メカニズムを防ぐ | 強い壁を1枚入れるより、扱いやすい強さの壁をバランスよく配置 |
| 3. 性能向上インスペクション | 「開けてびっくり」の追加工事・予算オーバーを防ぐ | サーモカメラや目視による事前調査を徹底する |
1. 快適性と健康を守る「夏の断熱・気密・気流止め」の重要性
まずは、今回の本題である「断熱リフォーム」における、プロならではの設計のポイントです。
単に壁の中に断熱材(グラスウールや発泡ウレタンなど)を詰め込めば熱を遮断して涼しくなる、というわけではありません。
①「気流止め」がなければ、断熱材は意味がない
古い木造住宅の壁の内部をサーモカメラで撮影すると、驚くべき現象が確認できます。
エアコンをガンガンに回しているのに、間仕切り壁のコンセントボックスや床と壁の隙間(巾木まわり)から、まるでお外にいるかのような生暖かい湿った空気が室内に侵入してきているのです。

これは、床下空間と壁の中、そして小屋裏(屋根裏)空間が、壁の上下の隙間によって筒抜けになっていることが原因です。
室内の冷房によって冷やされた空気は重いため下に下がろうとし、逆に壁の中の空気は屋根からの熱で温められて上に昇ろうとします。
これにより、壁の中で「煙突効果(気流)」が発生します。
床下から湿った空気を吸い上げ、断熱材の隙間をすり抜けて小屋裏へと熱気が抜けていく……。
これでは、どんなに高価な断熱材を入れても、セーターを着て強い扇風機の風を浴びているのと同じで、全く意味をなしていません。

同時リフォームの際には、壁を剥がしたタイミングで、壁の最下部(土台まわり)と最上部(梁・桁まわり)に、空気の流れをシャットアウトする防湿気密層が貼れるグラスウールや木材などの「気流止め」を必ず隙間なく施工します。
これにより、壁の中の空気の動きがピタッと止まり、断熱材が本来持っている「熱を遮る性能」が100%発揮されるようになります。

② 壁の裏側で静かに進む「夏型結露」を防ぐ設計
「結露は冬に窓ガラスに付くもの」と思っていませんか?
実は、近年の日本の猛暑において、もっとも恐ろしいのは壁の内部で起こる「夏型結露(逆流型結露)」です。
夏の屋外は、非常に高温多湿で大量の水蒸気を含んでいます。
一方、室内は冷房によって26℃前後に冷やされています。
屋外の湿った空気が外壁の隙間から壁の中に侵入したとき、冷房で冷やされた室内のせっこうボードや防湿フィルムの裏面に触れると、その瞬間に空気中の水蒸気が冷やされて水滴に変わります。
これが夏型結露の正体です。

壁の中で結露が繰り返されると、断熱材が水分を吸って下にずり落ちてしまうだけでなく、住まいの骨組みである柱や土台をじわじわと腐らせ、カビやダニの大発生を招きます。
せっかく家族の健康のために冷房を入れているのに、壁の裏でカビの胞子が繁殖してしまっては本末転倒です。
これを防ぐためには、材料の配置(透湿抵抗のバランス)を計算し、「屋外側には湿気を逃がす透湿防水シートを貼り、室内側には防湿フィルムを連続させる」、またはリフォームの施工ルート(外側から壊すか、内側から壊すか)に応じて適切な工法を選択する必要があります。

繊維系断熱材を使う場合は、JIS規格に適合した住宅用プラスチック系防湿フィルム(A種またはB種)を大工さんに隙間なく貼ってもらい、コンセントボックスまわりも専用の気密カバーで処理を徹底します。
2. 命を守る「耐震補強」の優先順位とバランス
断熱によって快適な受け皿を作ったら、次は「大地震が来ても絶対に倒壊しない、家族の命を守る骨組み」をつくる耐震リフォームのポイントです。
① 木造住宅は「2階が1階を押しつぶす」ように倒壊する
大地震時の木造住宅の被害調査(例えば2016年の熊本地震など)を詳細に分析すると、古い在来軸組工法の住宅の多くは、「1階がガシャッと押しつぶされ、2階がそのままストンと下に落ちてくる」という壊れ方をしています。

これは、1階に大きな掃き出し窓(お庭に出る広い窓)や車庫、広いリビングなどがあり、2階に比べて「圧倒的に壁の量が少ない」ことが原因です。
2階の重みに1階の柱や壁が耐えきれなくなり、横からの強い揺れ(地震力)によって一瞬にして倒壊してしまうのです。
耐震補強設計を行う際、一番の優先順位は「2階の真下(建物の重さの中心=重心の真下)にあたる1階部分を集中的に強くすること」です。
ここを重点的に補強して「シェルター化」することで、万が一、巨大な揺れが来ても、家族が寝ている、あるいは過ごしている1階の空間が押しつぶされるのを防ぐことができます。
② 「強い壁1枚」より「そこそこの壁をたくさん」の方が安くて強い
耐震リフォームと聞くと、「とにかく一番強い、壁倍率5倍や7倍のガチガチの壁を入れれば安心だろう」と思われがちです。
しかし、構造設計のプロとしては「そこそこの壁をたくさん配置」することの方が大事になります。
特定の場所だけに極端に強い壁(耐力壁)を配置すると、地震が来たときにその壁の周辺だけに強烈な力が集中してしまいます。
壁の端っこにある柱が上にドスンと引き抜かれようとするため、非常に大規模なホールダウン金物を基礎に直接アンカーボルトを打って固定しなければならなくなります。

さらに、その引き抜き力に耐えるために、無筋の古い基礎をコンクリートでゴツく補強する必要も出てきて、工事費がどんどん跳ね上がってしまいます。
耐震診断の計算ルール(低減係数表)を見ると、壁が強くなればなるほど、接合部や基礎が古いままであった場合の「性能の割り引き(低減)」が驚くほど厳しくなることが分かります。
| 壁基準耐力(強さ) | 健全なRC基礎(基礎I)の場合の低減 | 古い無筋基礎(基礎III)の場合の低減 |
| 低い壁(2.0〜3.0 kN/m) | 1.0(100%性能を発揮) | 0.8(2割引きで評価可能) |
| 高い壁(5.0〜7.0 kN/m) | 1.0(100%性能を発揮) | 0.6(なんと4割引きで評価) |
無筋基礎の直上に無理やり強い壁を作っても、計算上は4割引きされてしまうため、せっかく高いお金をかけて強い壁をつくっても無駄になってしまいます。
だからこそ、私たちは「構造用合板(仕様によるが基準耐力3.1kN/m程度)や、柱を傷めない筋かい(2.6kN/m程度)など、扱いやすい強さの耐力壁を、家の外周部や四隅にバランスよく多めに配置する」という設計を行います。

この方が、古い基礎や柱の接合部に無理な負担をかけず、家全体がしなやかに、バランスよく地震の揺れを踏ん張ることができます。
3. リフォームの成否を分ける「性能向上インスペクション」
新築工事と違って、リフォームは「すでにある住宅の状態」に合わせて計画を立てなければなりません。
ここで調査を怠ると、見積もり通りの金額で工事が終わらない最大の原因になります。
①「開けてびっくり!」の追加工事を未然に防ぐ
リフォームに携わる事業者のうち、実は半分以上(約53%)が、着工前に事前のインスペクション(住宅現況検査・診断)を実施していないという残念なデータがあります。

事前の調査をしっかり行わないまま大工さんが壁をバリバリと剥がした結果、
「予想以上に柱や梁の木材が雨漏りで腐っていて、全交換が必要になった」
「お風呂まわりの土台がシロアリに喰い荒らされていて、スカスカだった」
「基礎のひび割れが裏側まで貫通していて、想定していた耐震金物が使えない」
といった問題が次々と発覚します。(私たちはこれを「開けてびっくり」と呼びます。)。
こうなると、当初の見積もりから数十万円、場合によっては百万円以上の「追加工事費用」が発生し、お施主様の資金計画を完全に狂わせてしまいます。

② ワダハウジングが実践する、一級建築士による「親身な事前調査」
私たちは、地元・土岐市に根ざした工務店として、お施主様にそのような不安な思いを絶対にさせたくありません。
そのため、設計の前の段階で、一級建築士の資格を持ったプロが直接お家に伺い、徹底的にインスペクションを行います。
- 床下・小屋裏の調査:点検口から大工さんと同じ目線で床下や屋根裏を覗き込み、木材の「含水率(湿気の具合)」やシロアリの蟻道(ぎどう)がないか、断熱材が脱落していないかを直接目視で確認します。
- サーモカメラによる温熱診断:真夏や真冬など、冷暖房をかけた状態で室内の壁や天井を撮影し、「どこから熱が逃げているか」「どこの隙間風が原因で壁が熱くなっているか」を温度の変化として視覚的に可視化します。
- 「いえかるて(住宅履歴情報)」の確認:お家が建てられた正確な着工年月、当時の設計図書の有無、旧住宅金融公庫の融資利用の有無などをヒアリングし、「どの世代の耐震・省エネ基準で建てられているか」のアタリを事前につけて調査ポイントを絞り込みます。

現状の弱点(例えば、1981年〜2000年の新耐震基準の建物であっても、柱頭・柱脚の接合部金物が不十分であるなど)を正確に把握した上で、最適なリフォームプランと「狂わない見積書」を作成することが、私たちの誠実さです。
まとめ:壁を壊すなら「断熱+耐震」の同時リフォームを!
いかがでしたでしょうか?
土岐市や多治見市周辺のあのうだるような夏の暑さ、そしていつ来てもおかしくない巨大地震への不安。
これらは決して「古い家だから」と諦める必要はありません。
今回お伝えした通り、断熱リフォームと耐震リフォームをバラバラに行うのは、もっともお金がかかる「壁の解体と復旧(道連れ工事)」の費用を2回分支払うことになり、非常にもったいない選択です。

「壁を壊すなら、今、同時にやる。」
これこそが、リフォーム費用を最小限に抑えながら、お住まいの性能を劇的に引き上げる唯一無二の合理的な方法です。
同時リフォームで手に入る「3つの安心」
- 毎月の電気代を賢くカット: しっかりとした「気流止め」と夏型結露対策で、エアコンの冷気を逃がさず、足元から頭の上まで均一に涼しい快適な住宅に。
- 大地震に負けない骨組み: 1階のバランスを重視した構造設計により、万が一の際にも家族の命を守る「シェルター」としての強さを確保。
- 「開けてびっくり」のない安心感: 事前の徹底したインスペクション(住宅診断)により、想定外の追加予算が発生しないクリアな資金計画を実現。
まずは、一級建築士による「住宅の健康診断」インスペクションから始めましょう。



ワダハウジング和田製材株式会社
・一級建築士
・一級建築施工管理技士
・省エネ建築診断士(エキスパート)
・住宅外皮マイスター
・一般社団法人みんなの住宅研究所会員(会員番号:200019)
・既存住宅状況調査技術者
・JBN省令準耐火構造資格者
纐纈和正

